パソコンなどの電子機器のデータ消去を自力で行う方法とは?
パソコンや電子機器の買い替え・処分にあたって、自力でのデータ消去を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、そんな方に向けて、電子機器のデータ消去を自力で行う方法とその際の注意点、業者に依頼する場合のメリットについて解説します。データ消去でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
パソコンなどの電子機器のデータ消去を自力で行う方法
自力でデータ消去をする方法としては、専門ソフトを使ったデータ消去、物理破壊の2つがあります。それぞれについて以下で詳しく見ていきましょう。
■専門ソフトを使ってデータ消去する
データ消去専門のソフトを使って、インストールされているソフトやアプリ、OSまでを含めたすべてのデータを消去する方法です。パソコンやハードディスクに機械的な異常がないのであれば、専門ソフトを使うのが無難でしょう。後述する物理破壊のように電子機器を分解し、物理的に破壊する必要がないため、パソコンを売却・譲渡・返却する予定のある人におすすめです。
専門ソフトの種類としては「フリーソフト」「有料ソフト」「電子機器付属のソフト」の3つがあります。フリーソフトには、無料で使えるというメリットがある反面、ある程度電子機器に関する知識がなければ操作が難しく、挫折してしまいがちです。また、無料というだけで飛びついてしまうと、誤ってコンピュータウイルスに感染したり、怪しい広告のリンクをクリックしたりする危険性があります。
一方、有料ソフトは、費用がかかるものの、フリーソフトに比べて簡単にデータ消去ができるというメリットがあります。インターフェイスが、シンプルかつわかりやすくなっているため、普段で電子機器を使い慣れていない人におすすめです。
最後に、電子機器付属のソフトの場合、動作や、セキュリティ面で不安がないのが最大のメリットであるといえます。ただ、メーカーや機種によっては、データ消去ソフトがついていない場合もあります。自分の使用している電子機器に、データ消去のソフトがインストールされているか、事前に確認しておく必要があるでしょう。
いずれの方法を選択するにせよ、完全にデータを消去できたのか自力で確認できるだけの知識をもっておくことが大切です。
■物理的にデータを破壊する
データの入った記憶媒体をパソコンから取り出し、直接破壊する方法です。パソコンが起動せず、ソフトではデータを破壊できない場合などに、この方法を検討するとよいでしょう。正しい方法で完全に記憶媒体を破壊できれば、データを完全に破壊できるのが物理破壊のメリットです。
自力で物理破壊をする方法としては、電子機器を分解して記憶媒体をハンマーなどで叩きへこませる方法、ドリルで穴をあけ破損させる方法などがあります。ただ、実際のところ、データが入った部分を完全に破壊できたかを確認するのは簡単ではありません。最近の記憶媒体は頑丈なケースで守られており、簡単に破壊できなくなっています。
ハンマーなどで力を入れて叩けば、破片が飛び散り、皮膚や目をケガする恐れもあるでしょう。電子機器の構造について理解のある人、工具の扱いに慣れている人に適した方法であるといえるでしょう。
自力でデータ消去を行う際に注意するべきポイント
自力でデータ消去を行う際にあたっては、いくつか注意するべきポイントがあります。個人情報や機密情報を第三者に渡して悪用されないためにも、以下で挙げているポイントを押さえておきましょう。
■データの重要度に合ったデータの消去方法を選択する
データを消去する際は、データの重要度に見合った消去方法を選択することが大切です。あまり知られていませんが、データ消去にも、企業内・家庭内での再利用を前提とした比較的低いグレードのものから、機密性の高い企業・軍事データを消去するためのハイグレードなものまで、幅広いグレードが存在します。
グレードの低い消去方法を選択した場合、特殊なソフトウェアによって復元されたり、(HDDであれば)残留磁気を読み取る装置によってデータが復元されたりする恐れがあるので、注意が必要です。
目安として、NIST800-88Adbanced方式、NSA方式、米国国防省に準拠したDoD方式、米国海軍方式のNAVSO方式、VSITR方式、グートマン方式などが、確実性の高い消去方法として知られています。有料ソフトであれば、消去方式が必ず明記されているので、それを確認するとよいでしょう。
■物理破壊の難しさ・限界を知っておく
物理破壊は一見して簡単そうに思われがちですが、確実性の高い物理破壊を行うのは、実は簡単ではありません。電子機器の種類によって、記憶媒体が格納されている場所は異なります。電子機器についての十分な知識がないと、壊したつもりになっているだけで、肝心の記憶媒体が完全に破壊されないまま残ってしまうという事態に陥りかねません。
最近では、記憶媒体の微細化が進んでおり、特殊な破壊装置でなければ、確実に破壊するのが難しくなりつつあります。部分的にしか破壊できていない場合、断片的にデータを復元される可能性があるので、注意しておきましょう
より確実にデータ消去を行いたい場合は業者依頼がおすすめ!
データ消去は自力で行うことも可能ですが、より確実にデータ消去を行いたい場合は専門業者に依頼するのがおすすめです。業者に頼むメリットとしては次の2つが挙げられます。
■ケースに応じて、より確実性の高いデータ消去が期待できる
専門業者に依頼すれば、ケースに応じて「ソフトウェア消去」「物理破壊」「磁気消去」の3つの方法から、データ消去の方法を選択できます。専門業者は、微細な記憶媒体を破壊するための特殊な装置(クラッシャー)や、個人では高価で買えないような強い磁気を発生させる装置を保有しているため、自力でやるよりも、より確実性の高いデータ消去が期待できるでしょう。
また、ソフトウェア消去に関しても、データの重要度にあわせて、より確実性の高いデータ消去の方法を選択することが可能です。データを確実に破壊したい場合は物理破壊・磁気破壊を、機器を再利用したい・リースやレンタルなので破損してはいけない場合は、ソフトウェア消去を選択するといったような使い分けをすることも可能でしょう。
■データ消去証明書を発行してもらえる
データ消去が確実に行われたことを書類で残すことができるのも、業者に依頼するメリットのひとつです。データ消去証明書を発行してもらうことで、データ消去が確実に行われたという安心感を得られます。
また、企業であれば、データ消去に責任を持って取り組んでいる、というコンプライアンスの姿勢を打ち出すツールとしても活用できるでしょう。また、万が一、データ流出が起こった場合でも、証明書があれば、その記憶媒体が原因でないことを客観的に示すことができるのも、大きなメリットであるといえます。
この記事では、自力で電子機器のデータを消去する方法について解説してきました。自分が納得できる方法でデータを消去することで、データ流出やデータの悪用を心配することなく、安心して電子機器の廃棄・譲渡・売却・返却ができるようになります。本記事を参考にしながら、ぜひご自身にあったデータ消去の方法を検討してみてください。