ブロードリンクの元社員が起こしたHDD流出事件とは?
企業や家庭でもパソコンが当たり前のように使われる時代となった今、データの管理や削除に関する問題は誰でも直面する可能性があります。誰もがデータへの意識を改革する必要がありますが、データを安全に管理・削除するにはどうするべきでしょうか。この記事では有名なHDD流出事件を参考に詳しく解説します。
ブロードリンクの元社員が起こしたHDD流出事件とは?
神奈川県の重要な行政文書が大量に流出した「HDD流出事件」をご存じでしょうか。個人情報や重要な行政の機密情報が入っていた神奈川県庁のHDDがネットオークションに流出したのです。
HDDは実際にオークション上で購入されてしまい、購入者が情報に気付き新聞社に伝えたことにより発覚しました。ではどうして本来は重要に保管、もしくは破棄されなければならないHDDが流出してしまったのでしょうか。
事の発端は「リース契約」にありました。神奈川県は県庁内で使用していた重要な情報の入っていたHDDなどのファイルサーバについて、リース終了と同時に富士通リース社側に返却をしていました。しかし富士通リース側は「リース事業」がメインのためブロードリンク社側にHDDの破棄やデータ削除を依頼していたのです。
問題はこの次です。ブロードリンク社では日常的に社員による電子機器の窃盗が横行しており、この神奈川県庁のHDDも窃盗されていました。ブロードリンク社の社員は今まで行っていたような手口でHDDをオークションに出品してしまったため、機密情報が県庁、リース社、データ削除会社の手元をすり抜け大量に外部流出してしまったのです。
前代未聞の情報流出事件はブロードリンク社の経営悪化を招き社長は引責辞任をし、一部社員は解雇されるなどの事業整理に発展しました。また、元社員については有罪判決という結末に至っています。
HDD流出事件が起きた原因として考えられること
公的な機密情報がオークション上に流出して、実際に購入されてしまうという前代未聞のHDD流出事件はなぜ起こってしまったのでしょうか。その原因は関係する3つの立場それぞれにあります。
まず「神奈川県庁」は、リース契約の仕組みもありますがデータの管理や削除について認識が甘く、HDDの削除を把握しないままになっていました。暗号化もできていまいまま情報を保管してきた経緯があり、危機管理意識が欠けていたと指摘できます。
次に「富士通リース」は行政からの委託を受けているリース契約会社にも関わらず、孫請けのような形でブロードリンク側に一括して破棄を任せていました。ここでもHDDの削除に関して確認がなされておらず、県にも報告を怠っており怠慢があったと指摘されてもやむを得ません。
最後に信頼が絶対条件である「ブロードリンク社」では日常的に社員の窃盗が横行していたため、その他のHDDなども流出していたことがわかっています。企業管理がまったくできておらず、データを扱う企業としては致命的な対応だったと言わざるを得ません。
この事件は三者ともが、「データ削除を行わなかった」ことに大きなトラブルの原因がありますが、窃盗と転売という犯罪行為がデータ管理会社側で行われたことは社会に大きな衝撃を与えました。
信頼できるデータ消去業者を選ぶためには?
前代未聞の「HDD流出事件」を経験した今、企業のみならず個人レベルでデータ管理・削除に関してはより一層の危機管理を行う必要があります。では、今後適正にデータを管理していくためには私たちは日常生活の中でどのような行動を意識すべきでしょうか。
まず、HDD流出事件を紐解くと、当初の段階から神奈川県側は暗号化ができていないなど情報の危機管理が甘かった部分があります。普段から重要な情報の管理はセキュリティの体制を強化し、流出を防ぐ手立てを行わなければなりません。
また、パソコンの破棄や返却、売却の段階になったら、適正にデータ削除を行ってくれる業者に委託する必要があります。しかし、優良業者の見極めも難しいという側面があります。そんな時には「データ適正消去実行証明協議会(ADEC)」によるデータ削除証明書の発行を行っている企業や、データ削除の方法を明示している企業を選択しましょう。
データ削除は物理的な破壊だけではなく、ソフトによるデータ削除も有効な方法です。フリーソフトなどのあいまいな方法ではなく、専門性の高いソフトが使われているか否かもきちんと確認をするようにしましょう。
データ削除は「依頼したら終わり」なのではなく、削除の証明や削除方法を知っておくことも自己防衛の有効手段なのです。また、数多くのデータ削除実績がある企業は口コミによる評価も高いので、参考にされてみてはいかがでしょうか。
この記事では日本で起きてしまった「HDD流出事件」を参考に、データ削除の重要性や依頼会社の見極め方にも触れていきました。データの削除は人任せにするのではなく、削除会社をきちんとご自身の目で見極めて依頼する必要があります。悪質な事件をきっかけにデータ削除への意識は格段に向上し、優良なデータ削除企業も増加しています。安心の企業に依頼をし、危機管理能力を高めましょう。