物理破壊方式のデータ消去方法を選ぶメリット・デメリットとは?
パソコンやタブレットなどの売却・廃棄を検討されている方の中には「端末のデータが悪用されないか不安に感じる」という方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、物理破壊方式によるデータ消去です。この記事では、物理破壊方式のメリット・デメリットについて解説します。ぜひデータ消去方法を選ぶ際の参考にしてください。
パソコンなどを処分する前のデータ消去の重要性
パソコンやタブレットなどのデータ保存に使用される記憶装置は「内部ストレージ」と呼ばれ、その中には、住所・氏名・電話番号といった個人情報や、クレジットカード・WEBサイトのアカウントなどの重要な情報が格納されています。
データの消去が不十分なまま廃棄・売却をすると、悪意のある第3者の手に渡った場合、悪用されるリスクがあります。その場合、被害は自分だけでなく、自分とかかわりのある相手にまでおよびます。
専門業者へデータ消去を依頼したケースでも、過去に情報漏洩が発生したり、廃棄したはずの端末が転売されたりした事例もありました。そのため、消去までのプロセスで悪質な業者に情報を抜き取られたり、転売されたりするリスクについても考えなければなりません。
いい加減な業者に依頼すれば、データが完全に消去されず、情報漏洩につながる可能性もあります。ストレージを初期化しただけの状態や、デバイスが動かない状態でも、データは内部ストレージに残っています。
データ流出・情報漏洩を未然に防ぐためには、パソコンなどの電子機器を処分する前に、ある程度自分でデータを消去した上で、信頼できる専門に依頼し、完全にデータを消去する必要があります。
物理破壊方式のデータ消去方法を選ぶメリット・デメリット
電子機器のデータを完全に消去する方法としては、物理破壊方式が最も有効です。ここでは、物理破壊方式のデータ消去を選ぶメリット・デメリットについて解説します。
■物理破壊方式とは?
物理破壊方式とは、データを記録する媒体に物理的なダメージを与えてデータを消去する方法をいいます。物理破壊方式の種類としては、HDD専用の破壊機械を用いてハードディスの記憶媒体に4つの穴をあける穿孔破壊(せんこうはかい)方式、非常に強い圧力をかけて、記憶媒体を再利用が不可能になるまで圧縮破壊する粉砕破壊方式などがあります。
■物理破壊方式のメリット
物理破壊方式の最大のメリットは、複数あるデータ消去方法の中で最も確実にデータ消去ができる点にあります。記憶媒体を物理的に完全に破壊するため、データを復旧される心配がありません。
同時に複数の媒体を破壊できるため、データ消去に時間がかからないのもメリットのひとつです。既に壊れてしまっているストレージでも対応可能で、最近主流になりつつあるSSDという記憶媒体についても、それに適した専用の機材がある業者であれば、問題なく対処できます。作業時の立ち会いが許可されている業者であれば、目視で破壊状況が確認できるので、より安心感があるでしょう。
物理破壊後の破片からデータにアクセスできる可能性も0ではありませんが、HDDやフロッピーディスクなど磁気でデータを保存しているような記憶媒体であれば、磁気消去法と組み合わせることで、より確実にデータを消去することも可能です。
■物理破壊方式のデメリット
物理破壊方式のデメリットとしては、専用の機材がなければ、完全に破壊するのが難しい点が挙げられます。破壊する機材にもさまざまなグレードがあり、破壊の信頼性の程度も異なります。
業者によっては、所持している機材のグレードが低く、破壊の程度が不十分で信頼性に欠けたり、SSDなど一部の記憶媒体については破壊ができなかったりする場合もあるでしょう。破壊時には細かなゴミが大量に散乱するため、破壊後の引き取り工程も含めてあらかじめ検討することが大切です。
物理破壊方式以外のデータ消去方法との違い
物理破壊方式以外のデータ消去方法としては、ソフトウェア消去と磁気データ消去があります。物理破壊方式のメリット・デメリットを念頭に置きながら、どのように使い分ければよいのか考えていきましょう。
■記憶媒体を再利用できない
物理破壊方式は、記憶媒体をデータの読み込みができないように物理的に破壊するため、再利用できません。磁気データ消去も、強い磁気を当てて強制的にディスクに保存されているデータを消去するという点で同様です。
一方、ソフトウェア消去は、物理破壊方式や磁気データ破壊とは異なり、データ消去時に記憶媒体を破壊・損傷させる必要がありません。そのため、記憶媒体を再利用できます。電子機器をそのまま廃棄する場合は、物理破壊方式や電磁データ消去を、電子機器の返却・売却をする予定がある場合は、ソフトウェア方式を選ぶとよいでしょう。
■複数の記憶媒体を同時に破壊できるため、処分に時間がかからない
物理破壊は複数の記憶媒体を同時に破壊できるため、データ消去に時間がかかりません。磁気データに関しても、磁気データ消去装置の中に消去したい記憶媒体を入れれば、短時間でデータを消去することが可能です。
一方、ソフトウェア消去の場合、デバイスの容量や状態によっては、数時間から数日かかる場合があります。破壊する電子機器の数が多い場合は、物理破壊方式や電磁破壊が適しているといえるでしょう。
■デバイスの容量・OS・状態に関わらずデータ消去できる
物理破壊に電子機器のデータ容量・OS・状態は関係ありません。そのため、ソフトウェア消去では対応できないような故障した記憶媒体でも、ソフトウェア消去・電磁データ消去のどちらでも対応できないような小さな記録メディア(USBメモリ・SDメモリなど)でも破壊できます。
ただし、テープメディアやFDDに関しては、磁気データ消去でなければデータを消去できません。記憶媒体の種類に応じて、データ消去方法の使い分けをする必要があります。
データ流出・情報漏洩は自分だけでなく、自分と関わりのある相手にも大きな被害を与えるリスクがあります。だからこそ、自らの責任において、電子機器を処分する際にデータ消去してから処分することが大切です。安全性の高い方法でデータを厳重に消去し、不安を感じることなく電子機器を手放せるようにしていきましょう。